母の形見の腕時計を私の腕時計にしました

母が亡くなった時、私は何か一つ母の形見が欲しいと思いました。母は写真を好きではなかったので、二人で撮った写真すらありませんでした。でもとても大事にしていた腕時計があったのです。それはとても素敵で、とても女性らしいものだったのです。私はこれを形見として、父からもらったのです。

父の話しによると、この腕時計は結婚する前に父がプレゼントしたものだったのです。父はすっかり忘れていましたが、一か月もかけて思い出してくれたのです。母は三十年も大事にしていたのです。毎日腕につけていたのを覚えています。

だから腕につけていると、母のぬくもりを感じられるのです。いつも優しくて、怒るところを見た事はありません。とても穏やかでいつも太陽のように明るく笑っていました。そんな母なのです。

だから私の母のようになりたくて、毎日腕につけています。母になったような気がして、とても嬉しいのです。

私にはまだ子どもはいません。でもきっとそのうち母親になれるでしょう。そうなった時、必ず母のようになりたいのです。母のように子どもから好かれる母親になりたいのです。誰からも好かれるような、そんな母親にもなりたいのです。母もそう願ってくれているでしょう。